「虹をよく見るんですよ。それが私の絵にも反映されているかもしれませんね。」
そう話す川口ゆうこさん(50代)は、長い黒髪が美しい温和な佇まいの女性。
2007年にヨルダンで個展を開いたのを皮切りに、アートフェアへの出品やグループ展など中東を中心に活躍。宮殿にも作品が飾られるなど中東と日本を結ぶまさに“虹色の架け橋”となってきた。
コロナ禍で海外での活動がままならなくなった昨今、国内で大作の依頼を受けて制作に没頭する日々を送る彼女に、絵に対する想いと輝き続ける秘訣を尋ねた。
― 絵を描き始めたのはいつからですか?
「小さい頃から絵を描くのが好きで、美大付属の中学校からずーっと大学まで10年間美術を学びました。でも課題に追われるばかりで自分の作品は何も描いていなかったんです。
大学卒業後は美術館に勤めましたが、そこで色々な先生の絵に囲まれているうちに“自分の好きな絵を描いてみよう”と思って。
27歳の時に東京都が主催する美術展にチャレンジして賞をもらったことが画家デビューのきっかけになりました。それからは個展やグループ展に参加しながら絵を描いてきました。」
― なぜ中東で個展を開かれるようになったのですか?
「2006年、私が30代の時にイラクの支援活動をしている友人から、知り合いのイラク人アーティストを紹介され、その個展での出会いが始まりでした。その方からヨルダンで個展を開かないかと誘われ、断るにも英語が話せなかったのでとりあえず“YES”と(笑)。
2007年に最初の個展を開いた時は不安でしたが、ドバイのアートフェアに出展したり何度か行くうち、国立美術館やホテルに絵を買い上げていただき、芸術祭にも参加するなど中東での活動が広がっていき今に至っています。
英語も話せないんですが、アートは言葉を超えるというか…。日本人が珍しいというのもありますし、私の描く抽象画は中東で受け入れられやすいようです。」
― 昨今は海外に出られなくなり、創作への影響はありますか?
「せっかく繋いできた中東とのパイプが切れてしまうのは残念なので、繋いでいきたいと思っています。
けれどここ数年は、国内での活動にも勢力的に挑戦しているところです。個展をしたりして、国内で活動する楽しさもみつけました。嬉しいことに今年、タイミングよく大きな仕事をいただきまして、今はそれに向けて新たに取り組んでいるところです。
年内に4点の絵を仕上げる予定なのですが、正方形のものは約160cm、長方形は195cm×130cmという大きさ。キャンバスを張る作業だけで筋肉痛になりました(笑)。」
― 大きな作品に挑まれていますが、その創作意欲はどこから湧いてくるのでしょうか?
「がんばって絵を描いていると、時々奇跡のようなことが起こるんです。虹をたくさん見ることもそうですし、賞をいただいたり、絵を購入していただけたり。
実は先日、前に個展を開いたギャラリーの方から電話があり、私の絵が4点も売れました。画廊のホームページで見て気に入ってくださって…。売れないだろうと思っていた大きな作品だったので本当にびっくりしました。
こんなミラクルがあると“またがんばろう!”って思います。」
― 日々暮らす中でモットーとしていることは何でしょうか?
「芸術家の岡本太郎さんの言葉で“迷った時には進んだ方が良い”というのがありまして、悪い予測と良い予測が50%ずつでしたら、私は進む方を選ぶようにしています。
チャンスは一度ですし、やってみなければわからないから。昔はこうではなかったのですよ。迷ったら止めていました。けれどだんだん、やってみると楽しいことがあると分かって前向きになれました。」
― 個展のタイトル「未知数」に込められた想いとは?
「“未知数”とは、将来の予測や想像がつかないという意味です。私の個展はいつも“未知数”というタイトルをつけているのですが、それは“明日は何があるか分からない”から。
嬉しいこともそうですし、現実に震災のような災害だって起こることがあります。本当に明日は何があるか分からないからこそ、今を精一杯生きていこうと考えていて、その想いを作品に込めています。」
― 体力的にも大変なお仕事ですが、NMNサプリを飲まれていかがですか?
「ぐっすり眠る健康な毎日のためにこれからも続けたいです。
体調が整っていると、億劫な仕事でも前向きに頑張れますね。」
読者へのメッセージ
前向きで笑顔でいれば、きっと良いことがあると思っています。
人生良いことも悪いこともあるけれど、悪い時は精一杯できることをする。
絶えず前向きでいれば、良い方に向かっていくのではないかと思います。