マキアレイベルのコミュニケーターとしてデビューしてから丁度2ヶ月。
受電業務もやっと板に付いてきた頃、私の人生をも変えてくれるような、思いもよらない素敵な出会いがあった。
その日は遅番。時間も遅くなり入電も少なくなったそんな時、
「こんばんは。東京の中本です」
とそのお電話は始まった。
「ご注文ですか?」
私の問いかけに対し、
「いえ、定期的に送って下さっているものについてなんです」
とお話を頂いたのが、このお客様との出会いの始まりだった。
『実は登録のある妹が6月の末に突然亡くなってしまったのですが、亡くなった人の名前でも定期便を届けてもらうことは可能ですか?』
突然亡くなったという出来事に何と言えば良いのか戸惑っていると、お客様は話を続けた。
『妹はもう天国に行ってしまったけど、妹はマキアレイベルのファンデーションが大好きだったの。だから私たちにとってマキアさんのファンデーションはただのお化粧品じゃないのね。とっても大切な妹との思い出、宝物なの。出来ればね、妹のお墓に大好きだったファンデーションを入れてあげたいのだけど・・・できるかしら?』
と胸の熱くなるような言葉を頂いた。通常であれば亡くなった方のお名前で商品を届けることは出来ない。
『まだ妹が亡くなってしまったとは思えなくて、だから最後にもう一度だけ、妹宛の定期便を受け取ってそれをお墓に入れてあげたいの』
この言葉に、私はすぐにスーパーバイザーに相談をした。
ハワイの天国“ラニラニ”と“カナカナ”
スーパーバイザーに確認を取り、妹様のお名前で商品をお届けすることが出来る旨をお伝えした。
『本当に有難う!お化粧品って使うものだからお墓に入れちゃうのはどうかと思ってたんだけど。妹も天国でお化粧が出来るって喜んでると思うわ!』
ヘッドセットから聞こえてくる声の主はハワイ出身のとってもチャーミングな方で、私自身もハワイ留学の経験があったことから、その後の話も弾んだ。
クリスマスの日にお墓に埋葬なさること、妹様がマキアのファンデーションの良さについて自慢げにお友達にお話をしていたこと、洗顔後の顔にファンデーションを鼻の頭に付け合ってふざけたこと、日本人の温かさが大好きであったこと。どれも素敵なお話ばかりだった。
お話も終わろうとした時、
『あなた、お名前は何て仰るの?』
と訊かれた。
名前をお伝えすると
『え!?本当なの?KANAMIちゃんっていうのね?』
と少し興奮気味に仰った。
『ハワイではね、“ラニラニ”っていう天国があって、そこで風が吹くと“カナカナ”っていう香りがするって言われているの。そしてその風が吹くと、生きているときに悲しいことがあっても、その香りと風がぜーんぶ吹き飛ばしてくれるって言われているのよ。今回、妹のお話をしたのがカナカナちゃんだったなんて!信じられないかもしれないけどね、妹がこのファンデーションは天国のような心地良い匂いもするでしょ?って言ってたことがあるの。だからなんとなく名前を聞いてみたんだけど。私、ただ妄想が膨らんで、名前を聞き間違えてしまったのかとも思っちゃった。私ったら妄想おばさんみたいだけど、今日カナカナちゃんがお電話を取ってくれて奇跡かと思うくらい嬉しい。カナカナちゃんとのお電話も今日から私たちの宝物になったわ。妹にもこのこと伝えるわね!』
目頭が熱くなった。天国にいるお客様に喜んで頂けた気がした。そして、本当に、本当にこのお客様対応が出来て良かったと思った。
本当の贈り物は・・・
お客様のお話に耳を傾けることに精一杯で、お電話で商品の魅力を伝えること、ましてやお電話で商品を提案するなんて未知の世界であった。それが『あなたとのお電話のやり取りが宝物になったわ』という言葉を頂けるなんて、2ヶ月前の自分には想像も出来なかった。ただただ、素直に嬉しかった。そして、何かパワーを貰ったような気持ちになったことを鮮明に覚えている。
自社商品を『宝物だわ』と言って頂いたあの日。『そのようなお声を頂けて、私共も本当にいい商品を作っていると改めて実感しました。有難うございます。』と心から発することが出来たあの日。マキアレイベルの商品は世の中に認められている、もっと自信を持って提案をしていこう、と心から感じ決意した瞬間でもあった。天国のお客様が与えてくれた大切な贈り物であると感じている。
そして贈り物を下さったお客様には『ありがとう』のメッセージを、最後の定期便と一緒にお届けしてもらうことにした。“ラニラニ”と呼ばれる天国で、笑顔でいらっしゃることを願って。
※お客様との会話を元に、編集・加筆しています。